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・ある立地条件 ・車社会のコンビニ ・ある立地条件〜ゴルフ場の場合
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・ある集客条件〜接客は売上向上の要か? ・ある集客条件〜イベントの効果
・ダイエーの憂鬱〜キーワードは来店回数 ・チェンジ・ストア、アーケードの中で…
・売れ筋を追うな2005〜ポスレジのバカ(コンビニの市場予測シミュレーション)
・「勝てば官軍」から4年〜日本マクドナルドの苦悩
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(2005.4.26)
【「勝てば官軍」から4年〜日本マクドナルドの苦悩】(2005.8)
>>>“価格破壊”と“値引き合戦”の差は?
● 日本マクドナルド創業者の藤田田氏が「勝てば官軍」と胸を張ってから2年目で赤字転落。その後2004年期に黒字回復したものの業績低迷は続いている。
藤田氏の発言に対して私がこのメールマガジンで「企業の浮沈は世の常であり、成功は80%は幸運と思うべき」と指摘した直後から転落は始まっていたのでした。
企業の成功は、与えられた物理的条件に自分の努力が合致した結果です。その物理的条件を完全に読み切ることはほとんど不可能なのです。
その物理的条件を出来る限り論理的に解明しようと努力しているのが、当社の「モティベーティブ・セール(提案型販売)」なのです。
● 日本マクドナルドの失敗は「100円バーガー」と言われています。これは低価格路線を象徴しているのでしょう。つまり、“値引き合戦”に陥ったのです。
値引きは、競合他社(他店)商品より安い値段に設定し集客を図るものです。集客拡大を狙うには最も単純な方法論であり、行き着く先は見えているのです。つまり、他店が追従した場合、効果は消えます。そのため、多くは一瞬の成功に終わるのです。
『禁断の方法論』、と私は皆さんに申し上げています。
● 競合がある場合“値引き合戦”に陥り、収益が悪化し共倒れとなるのですが、「古くはダイエー、最近ではユニクロが成功したではないか?」と仰る方も多いことと思います。
ユニクロは“価格破壊”に成功し業績を伸ばしたではないのか?
ダイエーは日本を代表する企業になったではないか?
どれも事実です。「値引き合戦による失敗」と「価格破壊による成功」との違いは何処にあるのか?
● 答えは?・・・・・・・・「時間差」。
価格破壊は競合他社が、追いつくのに時間がかかった、また競合他社が現れるまでに時間があった場合といえます。
値引き合戦は直ぐに対抗処置を執られてしまい、価格差が直ぐになくなったのです。
では何故、直ぐに他者が追いつけないことがあるのでしょうか?
● ユニクロの場合を考えてください。
衣料品を中国生産し、それまでの常識を破る値段設定が出来たのです。この“中国で安く、良い品質で安定して生産すること”が、直ぐには真似が出来なかったのであり、仕入れ原価の安さを生かした品揃えや商品構成を実現したこと、管理技術の開発など、政策実現のスピードが早かったことが功を奏したと考えられます。
さらに、フリースなどの商品開発、カジュアルウエアーに集中したことなど、スピードと方策の良さがあげられます。
● 競合他社がユニクロのビジネスモデルに追従してからは、ご存じの通り業績は低迷してきました。これは、ビジネスモデルそのものの優位性が崩れ、商品企画、管理技術等の僅差での競合状態となり、圧倒的な差がなくなったのです。
つまり、これ以上の値引きは“値引き合戦”となってしまうのです。
>>>日本マクドナルドは“値引き合戦”を挑んだ
● では、日本マクドナルドは低価格路線を打ち出した時、“値引き合戦”となることに気付かなかったのでしょうか?
5年前、マクドナルドと競合するのは、その他のハンバーガーショップ、ケンタッキー、牛丼、回転寿司、コンビニ弁当・おむすび等数多く存在していました。そのどれもがマクドナルドの値引きに、即対応出来る状態であったといえます。ユニクロを追いかける場合のような、ビジネスモデルそのものの差はなかったのです。
● それはスーパー各店舗間の安売り合戦の様に、即応出来る範囲のものでした。これでは一時的には集客が増え、売上が伸びますが、直ぐに追いつかれて集客が減り、値上げも出来ず収益率を落としてしまっただけに終わったのです。まさに、典型的な“値引き合戦”に終わったのです。
これを見抜けなかったのには、過去の成功に対する過信が見えます。
また、最近ではアメリカ本部の海外での低価格路線の成功に対する執着が見えます。
● ハンバーガーの市場について考える時に、アメリカと日本文化の差を認識する必要があります。
アメリカでは、ハンバーガーの生活の中に占める重要度は日本と比較すれば重いといえます。日本では、ハンバーガーやサンドイッチだけでなく、お弁当やおにぎり、どんぶりなど選択肢が多いのです。お米文化が基本にあることを無視しては市場を見誤ることになります。
お客様の立場とのズレが感じられます。
>>>提案型販売になっていない
● 「新しいマクドナルドの使い方は?」と問い直してみます。
マクドナルドの日本での創業期、それはお客様に対する新しい生活スタイルの提案でありました。パン食の広がりにマッチしたのです。それを見抜いた藤田氏はさすがで、しかし、幸運でもあるのです。
“パン食生活スタイルの提案”がマクドナルドの基本でした。歩きながらの食し方は、「立ち食いは行儀が悪い」とのそれまでの常識に対する新しい提案でした。
余談になりますが、成田空港の建設が始まった頃、反対派農民の応援に全共闘の学生が入り、農家の縁側でお婆ちゃんから食事をもてなされた時のことです。ヘルメットに覆面、立て膝で食べ始めた学生に対し「ちゃんと座ってお食べ!!」とお婆ちゃんが一喝すると、鉄パイプや火炎瓶で闘争している学生達が、おとなしく座ったと聞きます。そんな時代に、歩きながらの食事はとんでもないことでありました。
“ドライブスルー”もまた、モータリゼイションが始まって“行儀の悪さ
を乗り越えた”新提案でありました。
● さて現在、マクドナルドはその当時のようなセンセーショナルな生活に対する提案が出来ていません。
「現在のマクドナルドの新しい提案にふさわしい方策は何か??」
皆さんも考えてみてください。良い提案があれば、日本マクドナルドに提案してみてはいかがでしょう?
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●日本マクドナルドに対する新しい提案を考える際のヒント
<日本マクドナルドの全商品メニューを参考に考えましょう。>
@ 生活の場面でマクドナルド製品が対応しているのはどの場面か?
朝食、10時のおやつ、昼食、3時のおやつ、夕食、夜食。
自宅、仕事場、レストラン等、車や電車、飛行機の中など移動中。
一人、家族、仕事仲間、接待、カジュアルな場面、式典での食事・・・・・・・等。
A 全ての場面、それぞれにふさわしい商品は何か?
B 現在の商品の少なくとも1週間の食事メニュー中に占める割合。
C @とBで現在の商品群で対応出来ていない場面に対応する方策は?
D 場面と、立地条件との関係は如何に?
各店舗ごと、個別方策の全体の法則性を考える。
各店舗を立地特性で分類する。
立地特性での分類に場面を割り当てる。
数種類の方策が各店舗ごとに現れるはず。
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